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吉田拓郎「しのび逢い」について
「しのび逢い」(吉田拓郎)は、1990年1月10日発売のアルバム『176.5』に収録された、“道ならぬ恋”を描くバラードで、打ち込みサウンド × ジェイク・コンセプションのクラリネット × 拓郎の繊細なボーカルが融合した、“静かで深い楽曲”です。フォークの拓郎とはまったく違う、成熟した大人の恋の距離感と痛みが描かれています。
しのび逢い
歌:吉田拓郎/詞:吉田拓郎/曲:吉田拓郎
本当はしのんで逢いたいと 思っているけど
今の僕にはそんな 形が似合わない
ちょっと切ない感じの 偶然が好ましいけれど
君の最初の言葉を思うと こわい気もする
子供のように 振る舞えない 苛立ちの中で
この気持ちを素直に伝える 事ができない
僕の歳月が君と同じでないなら 困ってしまう
風が吹いてきたようだ しのび逢いの風景は
そこに あるのに
流れゆくもの 無くしたものも 見ることは出来た
暗闇に突き進むなら そんな過去がいい
陽気になって 悲しんで もつれ合ったりしないで
誘われたのは人気がないからと 言い訳すればいい
急がない恋人のように 時をあやつれない
会話がとまる一瞬こそが 後悔の始まり
終電車がホームにすべり込んで行くのが見える
同じことを恐れるような しのび逢いの風景は
そこに あるのに
僕の中から 今日もひとつ 消えてゆくものがある
何もなかったように 時は刻まれて
明日がどんなに輝いた 一日になろうとも
今 成すべき事が胸の中で かすかに踊る
逢えるだろう 君は来るだろう 想いは続く
心に涙が溢れても 全ては苦いだろう
しのぶれど 秘密が永遠に 続く筈はない
限りない失望抱いた しのび逢いの風景が
そこに あるだけ
今夜の雨は少し人生を 変えてくれるけど
体中を濡らしてくれぬか 古い傷口も
かなわない願いを追いかける 愚かさが欲しい
君の自由と 不自由とまでが 僕を縛りつける
本当はしのんで逢いたいと 思っているけど
もう充分だよね 流れてしまう哀しみは
君の歳月が僕と同じでないから 困ってしまう
風が吹いてきたようだ しのび逢いの風景が
そこに あるだけ