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    吉田拓郎「30年前のフィクション」について

    「30年前のフィクション」(吉田拓郎)は、1990年1月10日発売のアルバム『176.5』に収録された、“近未来SF × 社会風刺 × 恋愛”を融合した異色作です。1990年から見た“30年前=1960年”を軸に、テクノロジーの進歩と人間の退化を対比しつつ、結局は“人は愚かに恋をする”という普遍性を描いた楽曲です。
    《未来の技術が進むほど人々の心は荒廃していく哀しみ》がこの曲のテーマで、「デジタルの文字は破滅へのカウント」「神の顔をしたシステムを信じればロボットになる」「欲望はダウンタウンで安売りされる」「涙を止める錠剤はまだない」など、《テクノロジーは進歩しても、人間の弱さ・恋・涙は進歩しない》という対比が曲全体を貫いています。


    30年前のフィクション
    歌:吉田拓郎/詞:森雪之丞/曲:吉田拓郎

    デジタルの文字は 砂時計より早く
    破滅へのカウント 数えているね

    昨日 流行(はや)ってた 服や科学や歌が
    地下鉄の車輪に 轢き殺されてゆく

    石の恐竜が ひしめくビルは迷路
    風も自信無げに 地図を広げる

    神の顔をした システムを信じれば
    人間の姿で ロボットになるのさ

    君が好きだけど 「愛」なのかわからない
    新しい辞書には その言葉さえなく

    あの夜 抱き合った ホテルは壊されて
    刑務所とよく似た 学校になったよ

    30年前なら SFの街
    でも 僕達はまだ 愚かに恋をする

    欲望はダウンタウンで 安売りされるけど
    涙を止める錠剤(くすり)は まだないね

    政治(まつり)で儲ける ペテン師達は今も
    平和が続くって 思ってるらしい

    闇に立ち込めた 過酷な退屈が
    今にも爆発 しそうだというのに

    君が欲しいけど 「夢」なのかわからない
    情報が皮肉が あまりに多すぎて

    混線した電話 聞こえないと言ったら
    サヨナラがその後 FAXで届いたよ

    30年続いた 情熱の街
    未来を手にいれて 未来を失った

    行く先を訊ねても 「夢」みた人はもう
    土に埋もれて何も 語らない

    30年前なら SFの街
    でも 僕達はまだ 愚かに恋をする

    欲望はダウンタウンで 安売りされるけど
    涙を止める錠剤(くすり)は まだないね






    Fender - Gibson - Martin - Paul Reed Smith - Gretsch - YAMAHA - ESP
    Chord Diagram