MENU
吉田拓郎「マラソン」について
「マラソン」(吉田拓郎)は、1983年5月21日発売のアルバム『マラソン』に収録された、“人生の行き止まりと再出発”を描く極めて内省的な楽曲です。フォーライフ社長辞任、結婚生活の揺らぎ、音楽仲間との不協和など、当時の拓郎の“八方ふさがりの心境”がそのまま刻まれた作品です。
この曲は、「壁を越えられなかった自分」「走り続けるしかない孤独」「風のようにどこにも根を下ろせない存在感」「小さな夢を見ながら、それでも前へ進むしかない人生」などを描いており、拓郎自身が「僕の人生は風みたいになってしまった」と語った時期の作品であり、歌詞の核心にもなっています。
マラソン
歌:吉田拓郎/詞:吉田拓郎/曲:吉田拓郎
子供の頃 僕は
夢を見たことがあった
隣の大きな家に住む
あの人達に混じって話がしたい
ただそこにある レンガの壁を
飛びこえさえすれば いいんだけれど
小さな僕の背伸びでは
まだ大人の世界を のぞけなかった
誰から聞いた 訳じゃなくて
可愛いい女の子が いるらしい
まだ見ぬ 憧れを追って
僕は ここにいるよと叫びたかった
夢を 見続けているうちに
あの人達は どこかの町へ
とり残された 僕の心に
悲しさが初めて 姿を見せた
今はもう忘れかけた 出来事だけど
そんな ひとつひとつが重なりあって
人は いつか走れなくなるまで
はるかな夢を抱いて 旅を続ける
なつかしい人に 出逢った時に
恥ずかしさが僕を 包みこむ
例えば昔の恋人を
まぶしく思うのは 何故だろう
その時は その時の心をこめて
愛を言葉にしたんだけれど
あまりに何かを求め急いで
季節の変わるのも 気づかずに
きっと 本当は誰だって
人の人生を見つめはしない
心が病んだり ゆれる時
話し相手には なってくれるけど
自分の旅が 続く限り
自分の明日を 追いかける限り
苦しさに耐えて そこに
ただ 立ちつくすだけの時もある
僕はあの時 風になり
大空を くるくる回りながら
このまま 死んでしまいたいと
またひとつ 小さな夢を見た
ふり返れば そこに僕がいて
お調子者だと 笑ってる
子供の頃も 今もまた
壁に しがみつくだけだった
今はもう忘れかけた 出来事だけど
そんな ひとつひとつが重なりあって
人は いつか走れなくなるまで
はるかな夢を抱いて 旅を続ける