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中山ラビ「夢のドライブ」について
「夢のドライブ」(中山ラビ)は、1974年7月発売のアルバム『ラビ ひらひら』収録曲で、フォークの語り口に、1970年代半ばの“都会の混沌・若者文化・社会の影”が混ざった、ラビ作品の中でも最もドラマ性が強い物語歌です。
この曲は、1970年代のフォークでは珍しい“都市の混沌と死の影”を描いています。モチーフは、「若者文化」「都会の熱気」「逃避」「破滅」「社会の暴力性」です。前半は《都市の熱気・若者文化・自由への憧れ》、後半は《社会の暴力・死・文明批判》を描いています。この二層構造が、「夢のドライブ」という軽快なタイトルとのギャップを生んでいます。
夢のドライブ
歌:中山ラビ/詞:中山ラビ/曲:中山ラビ
ワンピースの森をくぐり
コートの谷を飛びこえて
片手にコーラ 片手にタバコ
高島屋の外に出ると
熱いメタンガスの 海が押しよせ
ああ 風邪をこじらせた
人から うしろ指さされ
仕事から追い出され
いつまでも売れ残りになってはと
人並みのやり方で愛らしく
チャンスさえあれば しゃしゃりでる
そんな自分には
どうしてもがまんできなかった
ふらふら うろつきはぐれ
パン屋の前にさしかかると
スポーツシャツの若者が
スポーツカーから首を出して
ドライブに誘った 二人の仲間と
サングラスが よく似合ってた
琵琶湖のロックコンサート
比叡山のビアガーデン
涼しい所で汗流そうと
日焼けした手で私を たぐりよせ
一気に町をはなれ ハイウェイ
買物かごを 置きっぱなしで
疲れるまで踊りまわり
眠りこけるまで飲み続け
いつしか山に城がたち
湖水に浮かんだ ヨットは進み
赤いリンゴも 腐り
時はまたたく過ぎてゆく
サイレンが鳴りつづけ
ベッドからころげ落ちると
水たまりに しわだらけの顔が
高島屋で別れた 母の面影
暗い空を見上げて こと絶え
山火事は血のように赤かった
転がるように坂をおり
焼けこげの帽子をぬぐと
ガラスが飛び去っていく
真新しい塔婆の間をぬって
やがて 静かな 温もりに包まれ
享年19身元不明行倒れ
制服のエレベーターガールが
くりこむ善男善女に 最敬礼
まばたきもせず大量殺りく
スカートにまつわる その風は
最新型エアコンから 流される
あの文明のため息