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中島みゆき「忘れられるものならば」について
中島みゆきの「忘れられるものならば」は、1976年にリリースされたシングル「夜風の中から」のB面に収録された楽曲で、彼女の初期作品の中でも特に孤独と旅路、そして忘却への願望を繊細に描いた一曲です。
この曲は、過去の痛みや夢を忘れたいと願いながらも、忘れられない現実に向き合う人間の姿を描いています。歌詞には「忘れられるものならば もう旅になど出ない」「もう古い夢など見ない」といったフレーズが繰り返され、諦めと希望の狭間で揺れる心情が浮かび上がります。旅というモチーフは、逃避でもあり再生でもあり、みゆき作品らしい深い象徴性を持っています。
「忘れられるものならば」は、“忘れたいのに忘れられない”という人間の根源的な感情を、静かに、しかし力強く歌い上げた作品です。中島みゆきの歌の中でも、特に“心の旅”を描いた名曲のひとつです。
忘れられるものならば
歌:中島みゆき 詞:中島みゆき 曲:中島みゆき
遠く 遠く 遠く 遠く
続く旅の明け暮れに
いつか いつか 忘れかけた
旅に出たわけさえも
風が窓を叩く夜は
眠ることを妨げる
追いかけても 追いかけても
届かなかった鳥の名が
忘れられるものならば
もう 旅になど出ない
忘れられるものなら ば
もう 古い夢など見ない
遠く 遠く 遠く 遠く
夢はいつか遠のいて
あきらめても あきらめても
さし出す腕が戻せない
眠り込んでしまうために
おる酒も空になり
酔いきれない胸を抱いて
疲れた靴を履き直す
忘れられるものならば
もう 旅になど出ない
忘れられるものなら ば
もう 古い夢など見ない