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さだまさし「償い」について
「償い」(さだまさし)は、1982年12月11日リリースのアルバム『夢の轍』に収録された、実話をもとにした“加害者と被害者遺族の7年間の心の往復”を描く楽曲で、さだ作品の中でも特に“倫理・人間の弱さ・赦し”を真正面から扱った作品です。その重さと誠実さゆえに、裁判官が判決文で引用したことがあるほど社会的影響力の大きい曲です。
歌詞は完全に“物語形式”で、主人公の友人「ゆうちゃん」の7年間を語り手が見つめる構造になっています。語り手は“第三者”であり、ゆうちゃんの行動を見つめ、社会の冷たさと人の優しさを同時に受け止める役割を担っています。
償い
歌:さだまさし/詞:さだまさし/曲:さだまさし
月末になるとゆうちゃんは 薄い給料袋の封も切らずに
必ず横町の角にある郵便局へ とび込んでゆくのだった
仲間はそんな彼をみてみんな
貯金が趣味のしみったれた奴だと
飲んだ勢いで嘲笑っても ゆうちゃんはニコニコ笑うばかり
僕だけが知っているのだ 彼はここへ来る前にたった一度だけ
たった一度だけ哀しい誤ちを犯してしまったのだ
配達帰りの雨の夜 横断歩道の人影に
ブレーキが間にあわなかった 彼はその日とても疲れてた
人殺しあんたを許さないと 彼をののしった
被害者の奥さんの涙の足元で
彼はひたすら大声で泣き乍ら
ただ頭を床にこすりつけるだけだった
それから彼は人が変わった 何もかも
忘れて 働いて 働いて
償いきれるはずもないが せめてもと
毎月あの人に仕送りをしている
今日ゆうちゃんが僕の部屋へ 泣き乍ら走り込んで来た
しゃくりあげ乍ら彼は 一通の手紙を抱きしめていた
それは事件から数えて ようやく七年目に初めて
あの奥さんから初めて 彼宛に届いた便り
「ありがとう
あなたの優しい気持ちは とてもよくわかりました
だから どうぞ送金はやめて下さい あなたの文字を見る度に
主人を思い出して辛いのです あなたの気持ちはわかるけど
それより どうかもう
あなたご自身の人生をもとに戻してあげて欲しい」
手紙の中身はどうでもよかった それよりも
償いきれるはずもない あの人から
返事が来たのが ありがたくて ありがたくて
ありがたくて ありがたくて ありがたくて
神様って 思わず僕は叫んでいた
彼は許されたと思っていいのですか
来月も郵便局へ 通うはずの
やさしい人を許してくれてありがとう
人間って哀しいね だってみんなやさしい
それが傷つけあって かばいあって
何だかもらい泣きの涙が とまらなくて
とまらなくて とまらなくて とまらなくて