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グレープ「ほおずき」について
「ほおずき」は、グレープが1975年にリリースした4枚目のシングルで、夏祭りの思い出と別れを描いた作品となります。
曲は梅雨明けの夏祭りの情景から始まり、恋人との思い出が淡く描かれます。「きみは赤いほおずきを買った」「きみの下駄の鼻緒が切れた」など、情景描写が非常に細やかで、昭和の原風景が浮かぶような詩的表現が特徴です。終盤では「今夜は一人で行ったよ」「誰かが忘れた ほおずきをひとつ」と、別れの余韻と孤独が静かに語られています。
ほおずき
歌:グレープ/詞:さだまさし/曲:さだまさし
いくつかの水たまりを残して
梅雨が駆け抜けてしまえば
しめった風の背中越しに
きみの好きな夏が来ます
あの日きみにせがまれて
でかけた小さなお祭り
綿菓子の味 アセチレンの光
きみは赤いほおずきを買った
ため息でまわした ひとつのかざぐるま
とまらずに とまらずに
まわれと二人祈っていたのに
きみの下駄の鼻緒が切れた
ひとごみにまかれて切れた
僕の肩にすがり うつむいたきみは
おびえるように涙をこぼした
走馬灯に照らされて
僕はほおずきをかんで
風鈴の唄に 合わせてきみが
団扇(うちわ)でそっと風をくれた
僕の肩越しに
子供の花火をみつめ
きみは小さく つぶやいた
消えない花火があるなら欲しいと
たわむれに刻んだ 二人のたけくらべ
背のびして 背のびして
つま先立ってもとどかない
あの日のお祭りに
今夜は一人で行ったよ
想い出のほかに ひろったものは
誰かが忘れたほおずきをひとつ