MENU
岡林信康「山谷ブルース」について
「山谷ブルース」(岡林信康)は、1968年9月25日に発表された、日本フォーク史の出発点のひとつとされる重要作です。山谷(東京都・台東区〜荒川区周辺)に暮らす日雇い労働者の生活と心情を、リアルな語り口で描いたこの曲は、当時の音楽界に大きな衝撃を与え、のちの“社会派フォーク”の流れを決定づけました。
この曲は、岡林自身が山谷で日雇い労働者として働いた経験が基になっています。フォークソングでありながら、演歌的な節回しが強いのは、岡林が幼少期から賛美歌に親しんでいたこと、高石友也の演歌調フォークの影響が背景にあると言われています。また、当時、岡林がギターで弾けるコードが限られていたため、弾けるコードだけで作曲したというエピソードもあります。
「労働の過酷さ」「孤独と酒場の哀愁」「社会への疎外感」「それでも“泣かない”という誇りと希望」などが曲のテーマで、最後の「働く俺たちの世の中が きっと きっと来るさ」という一節は、社会派フォークの象徴的フレーズとして語り継がれています。
山谷ブルース
歌:岡林信康/詞:岡林信康/曲:岡林信康
今日の仕事は つらかった
あとは 焼酎を あおるだけ
どうせ どうせ山谷の ドヤ住まい
ほかに やること ありゃしねえ
一人酒場で 飲む酒に
かえらぬ 昔が なつかしい
泣いて 泣いてみたって なんになる
今じゃ 山谷が ふるさとよ
工事終われば それっきり
お払い箱の おれ達さ
いいさ いいさ山谷の 立ちん坊
世間 うらんで 何になる
人は山谷を 悪く言う
だけど おれ達 いなくなりゃ
ビルも ビルも道路も 出来ゃしねえ
誰も わかっちゃ くれねえか
だけどおれ達ゃ 泣かないぜ
働く おれ達の 世の中が
きっと きっとくるさ そのうちに
その日にゃ 泣こうぜ うれし泣き