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    上田正樹「悲しい色やね」について

    上田正樹のハスキーで力強い歌声が、この曲の最大の魅力です。彼は長年にわたり、関西を拠点にソウルやR&B、ブルースといったブラックミュージックを追求してきました。その経験から培われた、感情の機微を表現する歌唱力が、聴く人の心に深く響きます。
    この曲の歌詞は、全編が関西弁で書かれています。都会の喧騒と孤独、そして切ない別れの情景が、非常にリアルに描かれています。特に、サビの「大阪の海は悲しい色やね さよならをみんなここに捨てに来るから」というフレーズは、単なる地名ではなく、感情を象徴する場所として描かれており、強い印象を与えます。
    作詞家の康珍化は、この曲の歌詞を書き上げるにあたり、実際に大阪の街を歩き、人々の暮らしや雰囲気に触発されたと言われています。
    作曲を担当した林哲司は、松田聖子や杉山清貴&オメガトライブなど、多くのヒット曲を手掛けたニューミュージック界の巨匠です。彼の洗練されたメロディラインは、アメリカのAOR(Adult-Oriented Rock)やシティ・ポップの影響が色濃く感じられます。
    この都会的でグルーヴィーなサウンドに、関西弁という土着的な言葉が乗ることで、独特の世界観が生まれました。当時はまだ珍しかったこの組み合わせが、楽曲に唯一無二の個性を与えています。
    発売直後は目立った売上はありませんでしたが、大阪の有線放送局で少しずつリクエストが増え始めました。特にスナックやバーなど、夜の街を中心に静かに人気が広まっていきました。
    有線での人気が徐々に高まるにつれて、ラジオ番組やテレビの音楽番組でも取り上げられる機会が増えました。この頃、お笑いタレントの西川のりおが番組でこの曲を紹介するなど、関西圏の芸能界からの後押しも大きな要因となりました。
    これらの相乗効果により、リリース翌年の1983年にかけて爆発的なヒットを記録。オリコン年間チャートでも上位に入るほどのロングヒットとなりました。このヒットは、上田正樹の名を全国区に押し上げ、彼の代表曲としての地位を不動のものにしました。
    「悲しい色やね」は、単なる流行歌ではなく、日本の音楽シーンにソウルミュージックの要素を深く浸透させた重要な一曲として、今もなお多くの人々に愛され続けています。


    悲しい色やね
    歌:上田正樹 詞:康珍化 曲:林哲司

    にじむ街の灯を ふたり見ていた
    桟橋に止めた 車にもたれて
    泣いたら あかん 泣いたら
    せつなく なるだけ

    HOLD ME TIGHT 大阪ベイブルース
    おれのこと好きか あんた聞くけど
    HOLD ME TIGHT そんなことさえ
    わからんように なったんか

    大阪の海は 悲しい色やね
    さよならをみんな
    ここに捨てに 来るから

    夢しかないよな 男やけれど
    一度だってあんた 憎めなかった
    逃げたら あかん 逃げたら
    くちびる かんだけど

    HOLD ME TIGHT 大阪ベイブルース
    河はいくつも この街流れ
    恋や 夢のかけら
    みんな海に 流してく

    HOLD ME TIGHT 大阪ベイブルース
    今日でふたりは 終わりやけれど
    HOLD ME TIGHT あんたあたしの
    たったひとつの 青春やった

    HOLD ME TIGHT 大阪ベイブルース
    今日でふたりは 終わりやけれど
    HOLD ME TIGHT あんたあたしの
    たったひとつの 青春やった …






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