親父の一番長い日


歌:さだまさし/詞:さだまさし/曲:さだまさし

Original Key:G / Capo:0 / Play:G




G / Am7 / D7 / G /
G / Am7 / D7 / G Gsus4 / G Gsus4 /

  G        Em      Am7
おばあちゃんは夕餉の片付けを終えた時
D7          G
弟は二階のゆりかごの中で
  Am7    D7        G         E7
僕と親父は街頭テレビの カラテ・チョップが白熱した頃に
Am7  D7   G
妹の誕生を知った

  G           Am7
それから親父は占いの本と辞書と
 D7          G
首っぴきで実に一週間もかけて
  Am7       D7    G
娘のために つまりはきわめて何事もない
   E7   Am7   D7  G
ありふれた 名前を見つけ出した

 DonF# Em     D
お七  夜宮参り 夫婦は自画自賛
  Em       D7
可愛い娘だと はしゃぎ廻るけれど
 G      E7      Am7     D7
僕にはひいき目に見ても しわくちゃの失敗作品
  G    E7    Am7  D7  G DonF# / Em D /
やがて彼女を訪れる 不幸に胸を痛めた
    Em / D7 /
兄貴として

G     Em    Am7
妹の生まれた頃の我が家は
  D7            G
お世辞にも豊かな状態ではなかったが
   Am7    D7    G        E7
暗闇の中で何かをきっかけに灯が見えることがある
  Am7  D7    G
そんな出来事だったろう

 G         Am7
親思う心に勝る親心とやら
  D7          G
そんな訳で妹はほんのかけらも
    Am7     D7  G
みじめな思いをせずに 育てられた
 E7   Am7     D7   G
ただ 顔が親父に似たことを除けば

 DonF# Em     D
七五  三新入学 夫婦は狂気乱舞
 Em        D7
赤いランドセル背負ってか背負われてか
 G    E7   Am7      D7
学校への坂道を 足元ふらふら下りてゆく
 G    E7    Am7  D7  G DonF# / Em D /
一枚のスナップが 今も胸に残ってる
    Em / D7 /
兄貴として

  G     Em      Am7
我が家の血筋か妹も足だけは早くて
 D7        G
学級対抗リレーの花形で
    Am7    D7      G        E7
もっとも親父の応援のすごさに 相手が気おくれをして
 Am7    D7   G
随分助けられてはいたが

  G              Am7
これも我が家の血筋か かなりの演技派で
 D7            G
学芸会でもちゃんと役をもらった
   Am7      D7
親父の喜びは言うまでもない
   G      E7
たとえその役が一寸法師の
 Am7     D7   G
赤鬼の役であったにしても

    DonF# Em       D
妹(いもう  と)才気煥発 夫婦は無我夢中
 Em       D7
反抗期を過ぎて お赤飯を炊いて
 G     E7  Am7       D7
中学に入れば多少 女らしくなるかも知れぬと
 G     E7    Am7   D7   G DonF# / Em D /
家族の淡い期待あっさり裏切られてがっかり
    Em / D7 /
兄貴として

G     Em    Am7
妹の初恋は高校二年の秋
 D7                 G
相手のバレー部のキャプテンはよくあるケース
  Am7      D7   G      E7
結局言い出せる筈もなく 枯葉の如く散った
    Am7   D7    G
これもまた よくあるパターン

 G             Am7
彼氏のひとりもいないとは情けないと
 D7           G
親父はいつも笑い飛ばしてはいたが
  Am7    D7   G       E7
時折かかる電話を 一番気にしていたのは
  Am7  D7    G
当の親父自身だったろう

 DonF# Em     D
危険  な年頃と 夫婦は疑心暗鬼
  Em   D7
些細な妹の言葉に揺れていた
 G     E7 Am7      D7
今は我が家の一番幸せなひとときも少し
  G    E7  Am7   D7    G DonF# / Em D /
このままいさせてと祈っていたのでしょう
   Em / D7 /
親子として

G E7 / Am7 / D7 / G /
Am7 D7 / G E7 / Am7 / D7 /

G / Am7 / D7 / G /
Am7 D7 / G E7 / Am7 Cm7 / D7 / G / G /

  G      Em     Am7
或る日ひとりの若者が我が家に来て
  D7            G
「お嬢さんを僕に下さい」と言った
   Am7   D7      G      E7
親父は言葉を失い 頬染めうつむいたいつの間に
    Am7   D7   G
きれいになった娘を見つめた

  G             Am7
いくつもの思い出が親父の中をよぎり
  D7            G
だからつい あんな大声を出させた
   Am7    D7  G     E7
初めて見る親父の狼狽 妹の大粒の涙
 Am7  D7   G
家中の時が止まった

  DonF# Em       D
とりな  すお袋に とりつく島も与えず
 Em       D7
声を震わせて親父はかぶりを振った
  G        C      G
けれど妹の真実(ほんとう)を見た時
   Bm7       C    G...
目を閉じ深く息をして 小さな声で

   G       E7    Am7     D7
「わかった娘はくれてやる そのかわり一度でいい
   G    E7   Am7     D7 G  DonF# / Em D /
 うばって行く君を 君を殴らせろ」と言った
   Em / D7...
親父として

G     Em     Am7
妹の選んだ男に間違いはないと
 D7            G
信じていたのもやはり親父だった
   Am7   D7  G
花嫁の父は静かに娘の手をとり
 E7  Am7   D7   G
祭壇の前にゆるやかに立った

  G             Am7
ウェディング・ベルが避暑地の教会に
  D7           G
鳴り渡る時 僕は親父を見ていた
     Am7  D7 G   E7
まぎれもない父親の 涙の行方を
 Am7   D7    G
僕は一生忘れないだろう

 DonF# Em     D
思い  出かかえてお袋が続く
 Em      D7
涙でかすんだ目の中に僕は
 G     E7   Am7
今までで一番きれいな妹と
  D7   G  E7
一番立派な親父の姿を
 Am7   D7  G  DonF# / Em D /
刻み込もうとしていた
    Em / Am7 D7 / G DonF# / Em D /
兄貴として
    Em / Am7 D7 / G C... G...
息子として


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