下宿屋


歌:加川良/詞:加川良/曲:加川良

Original Key:A♭ / Capo:1 / Play:G












G / G /

G          C
 京都の秋の夕暮れは コートなしでは寒いぐらいで
G            D
 丘の上の下宿屋はいつも ふるえていました
C          G       Em
 僕はだれかの 笑い顔が 見られることより
C           D           / G /
 うつむきかげんの彼を 見つけたかったんです

G   C                    G
 ひもじい気持ちも あまりに寒いせいか 感じなかったようです
         D
ただ たたみの上で 寝ころびたかったんです
C            G       Em
 やさしすぎる 話のうますぎる 彼らの中にいるより
C             D               G
 うす汚いカーテンの向こうの 裸電球の下に すわりたかったんです

G           C
 彼はいつも だれかと そして何かを待っていた様子で
G              D
 ガラス戸がふるえるだけでも 「はい」って答えてました
C            G        Em
 その歯切れのいい言葉は あの部屋の中にいつまでも残っていたし
C             D               G
 暗やみで何かを 待ちつづけていた姿に 彼の唄を見たんです

G           C
 湯のみ茶わんにお湯を いっぱいいれてくれて
G             D
「そこの角砂糖でもかじったら」って 言ってくれました
C            G         Em
 その時「ありがとう」と答えて うつむいたのは
C           D           G
 胸が痛み出したことと 僕自身のうしろめたさと

G            C
 乾ききったギターの音が 彼の生活で そして
G                 D
 湿気の中にただひとつ ラーメンの香ばしさが唄ってたみたいです
C         G        Em
 不精ひげの中から ため息が少し聞こえたんですが
C       D             / G /
 僕にはそれが 唄のように聞こえたんです

 G     C
一杯呑み屋を 出てゆくあんたに
D          C    G
 むなしい気持ちが わかるなら
G        C        D       G
 汚れた手のひら 返してみたって 仕方ないことさ
  Em C    G
あせって走ることはないよ
 Em    C     D
待ちつかれて みることさ
  G     C
ため息ついても 聞こえはしないよ
G    D    G / G /
 それが 唄なんだ

G           C
 僕が歩こうとする道には いつも彼の影が映ってたみたいです
G         D
 小さな影でしたが だれだってその中に入りこめたんです
C                G         Em
 それから 彼の親父が 酔いどれ詩人だったことを知り
C           D             G
 今僕がこうしてるから 彼こそ本当の詩人なのだと言いきれるのです

G              C
 新しいお湯が シュンシュン鳴った時 ラーメンをつくってくれて
G              D
 そして ウッディやジャックを 聞かしてくれたんです
C            G        Em
 それから僕が 岩井さんやシバ君と会えたのも
C             D               / G /
 すべて この部屋だったし すべて 僕には唄だったんです

G           C
 何がいいとか 悪いとか そんなことじゃないんです
G           D
 たぶん僕は 死ぬまで 彼になりきれないでしょうから
C          G       Em
 ただその歯がゆさの中で 僕は信じるんです
C         D            / G /
 唄わないことが一番 いいんだと言える彼を

 G     C
一杯呑み屋を 出てゆくあんたに
D          C    G
 むなしい気持ちが わかるなら
G        C        D       G
 汚れた手のひら 返してみたって 仕方ないことさ
  Em C    G
あせって走ることはないよ
 Em    C     D
待ちつかれて みることさ
  G     C
ため息ついても 聞こえはしないよ
G    D    G / G / G / G / …
 それが 唄なんだ


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